では、結論から申し上げます。スラスラ書けるようになる文章力の正体とは、「要求を明確にする力」だと僕は考えます。
多くの人は書く事を求められた時、かなりの確率で「何を書けばいいのか分からない」という悩みに直面します。なぜそういった悩みを抱えるかというと、要求がよく分かっていないからなんですよ。大前提として、文章には必ず「読み手」という存在がいます。さらに言えば、その読み手を納得・満足させるために文章は書かれるわけです。ゆえに、読み手の要求がハッキリすれば、文章を作り上げる手はどんどん進んでいくことが多いです。これが今回の結論ですので、必ず覚えておいてください。
繰り返しますと、文章力とは要求を明確にする力のことで、なぜそう言えるかというと、文章は読み手の満足や納得のために書かれるからです。
もちろん、例外もあります。例えば、読み手のことなど考えず、ただただ独りよがりに書いた小説が大ヒットすることもあるでしょう。ただ、そういう例外は今回は無視しています。普通、そんな文章を求められることは無いので。あくまでも今回は、大多数の方が書くことになる文章について語っているとお考えください。
では、例を交えた話を進めていきます。例えば、就職活動をする際には「今まで頑張ってきた事を教えて」的な文章を書くことが求められますよね。ここで重要なのは、その要求に込められた意義を明確にすることなんです。文章を書かせることには、必ず意義があります。では、なぜあなたの頑張ってきた経緯が知りたいのか?それは、あなたの人物像を知りたいからだと考えることができます。なぜそう考えられるかと言うと、頑張りに人物像が反映されているかです。人はどうでもいいことを頑張れません。ゆえに、頑張ったことにはその人の人物像が表れていると考えられます。つまり、頑張りを書かせるということは、人物像を知りたいのでは?と想像できるわけです。
このように、理屈を含めて要求を想像することは誰でもできることとは言いませんが、訓練していけば徐々に精度は高まっていきます。では、この読み手の要求を踏まえて、さらに要求を深掘りしていきます。なお、今から説明する内容を学ぶことが要求を明確にする訓練に繋がってきますので、しっかり覚えられるよう努めてください。
読み手の想いを深掘りしよう
先程、就職活動においてあなたの頑張ってきた経緯を書かせる理由は「人物像を知りたいから」だと説明しました。ただ、僕の感覚で言えば、この理由だけでは読み手の本当の要求が見えたような気はしていません。ここで重要となるのは、「あなた自身が納得できるまで、要求に込められた意義を深掘りすること」です。
なぜ重要になるかと言うと、そもそも要求というのは、かなり曖昧なものだからです。少し哲学的な話になりますが、人が本当に心の底から求めていることなんて、考えても考えてもわからないと思うのが普通の感覚です。例えばですけど、「あなたが思い描く理想の人生とは?」と聞かれた時、自信を持ってスラスラ答えられますか?それっぽいことは答えられるでしょうが、100%の納得感を持って答えられないですよね。労働する必要が無いくらいのお金を得られれば自由な人生を送れそうですが、それが理想かと言われればなんか違うような気もします。このように、人の要求なんてフワフワしてるんですよ。ゆえに、少し深掘りしたくらいで読み手の要求が分かったなんて絶対に思わないでください。分かったと思った場合、それはただの勘違いである場合がほとんどです。
ただ、だからと言って深掘りすることに価値が無いということにはなりません。なぜなら、深掘りすることで、要求に近づいていくことは可能だからです。そして、深掘りにはキリがないので、「これくらいまで深掘りすればいいだろう」と自分で納得できるまでやってください。つまり、深掘りにベストを尽くしてくださいということです。先程の「人物像を知りたいから」という要求に関して言えば、「そもそもなんで人物像を知りたいのか?」という問いを立てることでより深い要求に辿り着けます。この問いに関して僕が思いついたのは、「失敗を回避したいから」という答えです。人を雇うことには、多大なコストが発生します。ゆえに、雇うという行為を失敗に終わらせたくないと強く思うわけです。だから就職活動においては、他にも学力試験や面接などを設けて、失敗を回避するよう努めているわけです。では、さらに考えていきます。次に考えるべきは「どのような人間を雇うことが失敗に繋がるか?」という問いです。
なお、このように問いを立て答えを導く過程において重要になるのは、知識と経験の蓄積です。知識と経験の蓄積が不足していれば、的外れな問いと答えが導かれてしまいますからね。なお、この知識と経験の蓄積について話を広げるとかなり脱線しそうなので、今回は割愛します。ここでは、たくさん学びたくさん行動することが文章力の基礎になっているという事だけ覚えておいてください。
では、話を戻します。雇うことにおいての失敗とは何なのか?あらゆる答えが想定できますが、僕がまず思いついたのが「人に迷惑をかける人材だったこと」です。例えば、不健康、悪口を言う、時間を守らないなどの要素は職場に迷惑をかけ、ひいては「雇って失敗だった」と思われる要因になりますよね。つまり、「こういったマイナスの要素は自分には無いですよ」という内容を盛り込むことが、読み手の要求に応える文章になり得るわけです。例えば、日々筋トレを頑張っているというエピソードを盛り込めば、健康的なイメージを与えられる、つまりは不健康という雇用の失敗に繋がりそうな要因を排除でき、結果的に雇われる可能性を上げることができるわけです。
このように、減点材料を取り除くような話は就活において有効になります。また、視点を変えて「雇いたい」と思わせるエピソードを盛り込むことも有効です。先ほどは不安材料を排除するという視点でしたが、加点材料を盛り込むことで評価を高めるということも有効です。例えば、金融機関への就職であれば、簿記の資格を取得している話は加点材料になり得そうですよね。ただ、僕の感覚としては、不安材料の排除の方が有効だと思っているんですよね。なぜなら、人はネガティブな情報に意識が向きやすいからです。ゆえに、加点材料を増やすというよりも、減点材料を減らす方が読み手の要求に応えられると思っています。
はい、ここまでひたすら読み手の要求を深掘りしてきましたが、いかがでしょうか?あなたがもしこれから就活をする予定であれば、文章を書くための大きなヒントが得られたのでは?と思います。全く違う種類の文章に臨む方でも、方向性がグッと定まったのではないでしょうか?ただ、この動画を見ただけで、いきなり文章がかけるほど甘くないのも事実です。なぜなら、文章はもっと多様な要素で構成されるからです。今回語った「読み手の要求を明確にする」ことは重要な要素の一つですが、これ以外にも「言葉遣い」や「段落の作り方」などを用いて、読みやすさを追求することなんかも必要です。ただ、今回の教えを知っているだけでも、知らない方に比べればだいぶ差がついたと思ってもらってOKです。
また、テーマを絞った都合上、今回は具体的な文章の書き方についてはほぼ触れませんでした。もし書き方を知りたい方は下に貼るブログ記事をご参照ください。
では、一緒に日々の鍛錬をコツコツ積み重ねていきましょう。ご閲覧、ありがとうございました。